特筆すべきは、Bリーグ開幕による露出効果の大幅な増加の恩恵を受けられた初年度と比べて、2シーズン目の売り上げが56%もアップしたこと。きちんとした計画がなければ、達成できない数字だ。
Bリーグ2年目からクレジットカード決済を取り入れたのは、POSシステム導入とセットだった。POSシステムというのは、コンビニなどでもおなじみだが、それぞれの商品が、いつ、どの価格で、どのくらい売れたのかをすぐに把握できるシステムだ。
バスケットボールは10分間のクォーターが4つの計40分間で行われており、第2クォーターの合間にも前半と後半を分けるハーフタイムが設けられる。POSシステムを導入したことで、試合日に細やかな調整も可能になった。本拠地の船橋アリーナに用意されているグッズ売り場で、ファンがグッズを主に買い求めるのは試合前と試合後だが、ハーフタイムにも一定数のファンが販売エリアに足を運ぶ。
そこで、試合前のグッズの販売状況を見たうえで、試合が行われている時間を利用して、商品の並び替えも行われている。新商品が予想以上に売れていれば補充もするし、その試合で活躍した選手のグッズを、試合後にファンが訪れるタイミングに合わせて目立つところに陳列することもある。
「NPB(プロ野球)がデパートで、Jリーグ(プロサッカーリーグ)がスーパーならば、バスケットボールはコンビニを目指せばよい」
Bリーグが発足する前のbjリーグに関わった人たちは、実はそんなビジョンを持っていたが、野球やサッカーのように1試合に5万人が訪れることはないかわりに、バスケでは小回りが利く。そして、それを高いレベルで実行しているのがジェッツである。
クレジットカード決済の導入にしても、入念なリサーチの上でのものだった。ジェッツが拠点を置く船橋市はベンチャー企業が盛んで、政令指定都市ではない市町村で最も人口が多い。そんな影響もあってだろうか、リサーチの結果、ジェッツを支えるファンの家庭の平均収入が、他競技を含めたスポーツチームと比べてかなり高いという結果が出た。