

日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「アフターピル」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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9月26日は「世界避妊デー(World Contraception Day)」、9月28日は「安全な妊娠中絶のための権利の日(International Safe Abortion Day)」であったことを、皆さんはご存知だったでしょうか。
「世界避妊デー」は、避妊に対する意識向上、そして若者が性および生殖に関する情報に基づいて避妊法を選択できるようにすることを目的とし、すべての妊娠が望まれたものであることを願って、毎年開催されている世界的なキャンペーンです。「安全な妊娠中絶のための権利の日」は、女性の安全な中絶の権利のための運動の歩みや認められた権利を祝い、安全な中絶の権利を支持する日です。
性や妊娠・出産に関わるすべてにおいて、身体的、精神的、そして社会的に本人の意思が尊重され、自分らしく生きる。そのために必要な情報を得ることができ、自分にあった選択肢にアクセス可能であること、つまり避妊する権利と妊娠中絶の権利は、女性の自律性に不可欠なのです。
しかしながら、日本は、避妊法の一つである緊急避妊薬にアクセスするハードルが高いと言わざるを得ません。今回は、緊急避妊薬についてお話ししたいと思います。
「避妊具が破れてしまって‥。緊急避妊薬があることをインターネットで調べて初めて知りました。休日でも処方してもらえる病院を必死に探しました……」
ある3連休最終日の正午。私の勤務先のクリニックに20代前半の女性が一人、緊急避妊薬を処方して欲しいとやって来ました。「緊急避妊薬の存在自体、知らなかった」と言います。どうしていいか分からず、インターネットで必死に調べて、内服するには処方箋が必要だと知った。避妊に失敗したのは連休初日になってすぐの2時頃だったため、必死に休日でも処方してもらえる病院を探してやってきたそうです。