ピョートル・フェリクス・グジバチさん(撮影/写真部・片山菜緒子)
ピョートル・フェリクス・グジバチさん(撮影/写真部・片山菜緒子)
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「世界最高のチーム」コンテスト、開催!
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「コンサルティング業務などを通じて日本の大企業のマネジメント層を見てみると、率直に言って<チーム>になっていません。単なる<部門長の集まり>でしかない。かなりヤバイですよ」

 そう指摘するのは、グーグルの元アジア・パシフィック人材開発部門ヘッドでコンサルタントのピョートル・フェリクス・グジバチさんだ。ベストセラー『ニューエリート(NEW ELITE)』(大和書房)や最新刊『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』(朝日新聞出版)の中でも、「日本の会社、特に大企業は経営チームがしっかりしないと生産性の向上なんてありえない」と警鐘を鳴らしている。

「経営チームがちゃんとチームとして機能するだけで、生産性は8割、きっとアップするでしょう」とグジバチ氏。日本企業に欠けている経営陣の「チームワーク」とは何か、求められる経営チーム改革とはどのようなものか。以下は、成長できない日本企業のマネジメント層への、いわば緊急提言だ。

*  *  *

 外資系の企業で海外から経営者が赴任してくると、真っ先にマネジメント層のチーム問題を指摘します。「チーム感がない」とか「経営チームとして何を目指そうとしているのかわからない」とか。多くの日本の会社組織が抱える大きな課題なんですね。だから外国人トップはすぐ気づくし、いの一番に解決したいと思うわけです。

 僕も日本企業の役員会に数多く参加していますが、ほとんどの役員たちに一つのチームという発想がないと感じることがあまりにも多い。一緒に決定して、決定したことを必ず守る、納得いかないけどチームとして動く、みんなで決めたから一生懸命やるというような、ごく当たり前の言動があまり見受けられないのです。

「世界標準」のリアクションは、たとえばこうです。「Aさんの意見に僕は納得できないけれども、ただね、みんなで動かなきゃならないから、とりあえず同じ方向に行きます。1、2週間探求してみて、もしそれが正しくなければ、もう1回話しましょう。今日は妥協します」。そして、経営者も含めて役員みんながメンバーの一人としてAさんをひたすらサポートする。それがチームの動きとして当然でしょう。陰で「Aさんは間違っている」とか、文句を言わないのが当たり前なのです。

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ところが、役員会のあとで…