21日付の紙面も舌鋒鋭い。党員票の結果については、安倍首相が北海道や東北、信越を中心とする農業県で苦戦したことを紹介し、「地方に安倍首相の政権運営に対する不満がくすぶる実態があることを示した」と分析。官邸主導で進められた数々の政策について「政策決定の手法への不満が浮き彫りとなった」と断じた。
一面下コラム「四季」はさらに辛辣だ。
「安倍農政は地方から『言っていることと、やっていることが違う』と手厳しい」
「安倍氏は総裁選で農林水産物の輸出、農業所得、若手新規就農者などの数字を挙げ実績を繰り返し強調した。だが、現場生産者には空虚に響く」
自民党の支持団体なのに、総裁に当選しても祝意を示すつもりなどまったくない。
ちなみに、安倍首相は総裁選前に同紙の単独インタビューに応じ、7月20日付紙面に一面トップで掲載された。業界専門紙に現職の首相が登場するのは異例で、永田町やメディア業界ではちょっとした話題にもなった。にもかかわらず、同紙は安倍首相の“お友達”にはならず、容赦なくぶった斬ったということだ。
コラムの最後は、こう締めくくられている。
「出来秋である。<実るほど頭を垂れる稲穂かな>。安倍氏にはこの言葉を贈る」
同紙購読者で、安倍首相に投票しなかった自民党員の多くが「我が意を得たり」と共感したのではないか。(AERA dot.編集部)