ラウールが振り返る。

「初めて滝沢歌舞伎に出た時は15歳。当時は薄い細い体で頑張って叩いていました。それが年々厚みが出てきて。皆さんに男の子の成長を少しでも感じてもらえたらうれしいですね」

 控えめにそう語るが、腹筋太鼓で魅せた胸板はしっかり厚い。「細い体で頑張っていた」のは、ラウールがSnow Manに加入してすぐの頃だ。宇宙Sixと兼任していた目黒、関西ジャニーズJr.で活躍してきた向井の3人が加入してSnow Manは9人体制になったが、加入する側も受け入れる側も9人それぞれに葛藤はあったはずだ。

 クライマックスの、激しく回転する五条大橋と9トンの水を使ったずぶ濡れのパフォーマンスには、そんな彼らが逆境に負けず、やがて一つになっていくグループの軌跡と、メンバーそれぞれの心象風景も丁寧に表現しているように見えた。演目の名も「Memories」。深澤はこう語る。

「あの演目は滝沢歌舞伎を語る上でも、Snow Manを語る上でも外せない。僕たちにしかできないパフォーマンスになったと思います」

「できる限りの演目を詰め込んだ」(深澤)という約110分。今年は全国の映画館でもライブビューイングが開催されている。Snow Manが全身全霊で届ける伝説必至のパフォーマンスだ。(ライター・大道絵里子)

AERA 2023年5月1日号-8日合併号