メキシコ戦の九回、村上(中央)はサヨナラの逆転2点適時打を放ってチームメートに祝福される
メキシコ戦の九回、村上(中央)はサヨナラの逆転2点適時打を放ってチームメートに祝福される

「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)で、日本代表(侍ジャパン)が14年ぶり3度目の「世界一」となった。選手たちの活躍だけでなく、その発言も注目を集めた。AERA 2023年4月3日号の記事を紹介する。

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 監督、コーチ陣、選手たちがマイアミの宿舎に戻り、行った優勝会見。大谷翔平(エンゼルス、28)は、

「小さいころから夢見てきましたし、この大会で優勝することを目標の一つにしてきたので、僕は(強化合宿地の)宮崎から行ってないので、大会、本当に短かったな、今思うと。短かったなとすごく思うんですけど、素晴らしい先輩と素晴らしい後輩と本当にいいチームメートたちと野球ができたのは自分にとって素晴らしい経験になっていますし、今後の野球人生においても、素晴らしい経験になったんじゃないかなと思います」

 と穏やかな表情を浮かべた。

 日本列島を熱狂させた侍ジャパン。結果だけでなく、意地とプライドをぶつけ合った強豪との激闘があったからこそファンは感情移入できたのだろう。選手たちも世界一の歓喜に笑顔を見せる一方、「このチームでもう戦えなくなるのが寂しい」と口をそろえていた。

 ダルビッシュ有(パドレス、36)は、

「優勝がどうとかというよりは、みんなが明るく笑顔で野球をプレーしてほしいなっていうふうに最年長としてはずっと思っていたので、そこだけ僕はすごく大事にしていました。みんな友だちのようになりましたし、実力としても本当に素晴らしい選手ばかりで、いろいろ意見交換する中で自分もすごく成長できましたし、同時に課題もすごく見つかったので、本当に感謝しています」

 とコメントした。WBCの侍ジャパンでは初の日系大リーグ選手、ラーズ・ヌートバー(カージナルス、25)は、

「監督をはじめコーチ陣、素晴らしいチームメートと一緒に出来て本当に良かったですし、誘ってくれた(通訳の水原)一平にも感謝していますし、最高です。(日本語で)サイコウ、ニッポンダイスキ」

 侍ジャパンは世界の頂点に立つだけでなく、野球人口の減少を食い止めるために世界的な普及活動の使命も帯びていた。仲間と助け合いながら戦うチームプレーの魅力を世界中の野球ファンが再認識したのではないだろうか。(ライター・今川秀悟)

AERA 2023年4月3日号より抜粋