きよた・たかゆき/1980年、東京都生まれ。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。共編著に『どうして男はそうなんだろうか会議』(photo 本人提供)
きよた・たかゆき/1980年、東京都生まれ。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。共編著に『どうして男はそうなんだろうか会議』(photo 本人提供)

 学校で性教育だけでなく、家庭での親の役割も重要だ。大人は子どもにどのように接したらいいのだろうか。恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表・清田隆之さんに聞いた。AERA 2023年1月30日号の記事を紹介する。

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「性教育」というものを、学校や両親から受けた記憶がないんです。小学校で男子と女子が部屋を分けられて何やら……という記憶は一度だけありますが、中身は覚えてないし、中学からは男子校になり、もうまったく何もわからないままでした。

 最初に夢精したときは驚いて、自分の体が変になっちゃうんじゃないかと恐怖だったし、体に毛が生えてきた時も嫌悪感がありました。「そういうものなんだよ」という科学的な知識と、体の変化に対する戸惑いや不安は何ゆえなのか話を聞ける場があったらよかったと思います。また性差・性別というけれど、異性愛、同性愛もあれば性愛の感覚がない人もいるなど、ジェンダーの話も当事者に触れる機会も含めて、学校であったら理想だなとは思いますね。

 私は3歳の女の子の双子を育てています。お風呂ではお尻とかおちんちんとか、キャッキャ言いながら興味を持ってきますし、「なんで違うの」など聞いてきます。男の子と女の子でこういう違いがあって、でもおしっこのときは違わないんだよ、と説明します。学校の性教育カリキュラムも大事だと思いますが、日常の雑談レベルで大人と言葉を交わしながら、徐々にジェンダーや性の問題を考える足場を作っていくことこそが大事かなと感じます。

 そのときに大原則とすべきは「基本的人権」だと思います。自分は、自分のもの。自分の体や心には境界線があって、その内側には誰だって勝手に入れない。嫌なら嫌と言っていいし、違和感をもったら逃げていい。そういう権利が誰にでもあると。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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