常に注目のまとだったダイアナ元妃。気さくな人柄で自然に相手の心をほぐす魅力を持っていた。映画「プリンセス・ダイアナ」から(photo Kent Gavin)
常に注目のまとだったダイアナ元妃。気さくな人柄で自然に相手の心をほぐす魅力を持っていた。映画「プリンセス・ダイアナ」から(photo Kent Gavin)

 エリザベス女王の逝去、チャールズ新国王即位で注目の英王室。そんななかダイアナ元妃にまつわる2本の映画が公開される。36歳で生涯を閉じた彼女の物語が、我々に問いかけるものとは。AERA 2022年10月10-17日合併号の記事を紹介する。

【写真】映画「プリンセス・ダイアナ」からダイアナ元妃の貴重なショットはこちら

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「世界で最も多く写真を撮られた人物のひとり」といわれるダイアナ元妃。ドキュメンタリー映画「プリンセス・ダイアナ」は関係者インタビューなどを一切使わずに、その膨大なアーカイブ映像のみで綴られている。生い立ちから世紀のロイヤルウェディング、離婚について語ったテレビ放送のシーン、事故当日のパパラッチの様子などで人物像に迫っていく。

 いっぽう「スペンサー ダイアナの決意」は、ダイアナ元妃が離婚を決意したといわれる1991年のクリスマスの3日間を描いた劇映画。王室のしきたりに縛られ、夫の不貞に苦しむ彼女の心理描写に焦点を当て、ダイアナ元妃を演じたクリステン・スチュワートは2022年米アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。

 ここでダイアナ元妃(以下、敬称略)の生い立ちを改めて紹介しよう。ダイアナ・フランセス・スペンサーは1961年、オルソープ子爵(後にスペンサー伯爵)の令嬢として生まれた。姉2人と弟の4人きょうだいで、8歳のときに両親の離婚を経験している。チャールズ皇太子(当時。以下、敬称略)との出会いは77年。そのとき、チャールズは姉と交際していた。79年に再会し、81年に婚約。「プリンセス・ダイアナ」には、当時19歳の彼女の初々しい表情が収められている。

「プリンセス・ダイアナ」/膨大なアーカイブ映像から編まれたドキュメンタリー映画。夫の不倫や自身のスキャンダル、エリザベス女王との関係、慈善活動など観客は彼女の人生のすべてを体験する。東京・TOHO シネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国公開中(photo Richard Ellis)
「プリンセス・ダイアナ」/膨大なアーカイブ映像から編まれたドキュメンタリー映画。夫の不倫や自身のスキャンダル、エリザベス女王との関係、慈善活動など観客は彼女の人生のすべてを体験する。東京・TOHO シネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国公開中(photo Richard Ellis)

■悲劇の一部に加担した

 82年にウィリアム王子を、84年に第2子ヘンリー王子を出産。しかしこの時期、すでに二人の関係は終わっていたとされる。映画にはヘンリー王子出産後、退院したダイアナを置いてチャールズがポロに出かけるくだりがある。

 86年に初来日し、ダイアナ・フィーバーを巻き起こすも、96年に二人は正式に離婚。そして97年8月31日、パリで交通事故に遭い、死去。享年36。

「プリンセス・ダイアナ」のエド・パーキンズ監督はダイアナの事故の際、11歳だったと話す。

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