倉本聰さん
倉本聰さん

倉本:うーん。僕は今、富良野自然塾で「闇の教室」っていう、真っ暗闇の中で、四季で変わるにおいや音を感じるってのをやっていて。

大宮:へえ、面白いな。それは野外でやられてるんですか。

倉本:いえ、地中です。「便利」って言葉をよく聞くけど、人間は本来自分のエネルギーで生きてたわけですよ。でも、脳が発達し、エネルギー消費をケチることを考え始めるんですね。だから家畜や奴隷に働かせ、今は化石燃料に働かせてるわけでしょ。で、自分は筋肉使わなくなってわざわざ金を払って、ジムに行って、何の生産性もないのにものを上げたり下げたりとか、どこにも行き着かない自転車をこいでたりとか、不思議な行動に出るわけですよ。

大宮:闇の教室、義務教育に入れたいですね!

倉本:そうです。僕、東大行かなかったからそう言うわけじゃないんだけど、学校教育は、根本的なところでズレちゃってるって気がするんですよ。だって、科学者が兵器を作ることに労力を使っているでしょ。そんなこと考える暇があるなら、温暖化の原因になる牛のゲップを集めて発電する方法を考えたほうがいい。

大宮:!

倉本:世界で排出される温室効果ガスの4~5%を占めるっていうんだから。

大宮:そんなにですか。

倉本:僕は森を育てているんだけど、それはCO2を吸収し、酸素を産出する葉っぱをつくるため。みんなは金になる幹のことばっかり考えているでしょ。それを変えるために自然塾やってます。

AERA 2022年10月3日号