AERA2022年9月26日号
AERA2022年9月26日号

 6月に開催したファンクラブイベントでは、井上陽水さんや浜田省吾さんなど、敬愛するアーティストのカヴァーソングのみでライブを開催しました。なぜ全曲カヴァーなのか? それは「カウンセリングルームから一歩外に出てみよう」という考えでした。ソングライティング=自己救済だとするならば、カヴァーソングを歌うという行為は、カウンセリングルームから外に出て運動したり、他の先生に診察してもらったりするイメージです。結果、自分以外のアーティストの楽曲をカヴァーすることで、そのアーティストの精神性に触れることでさまざまな発見がありました。

■摩訶不思議な生き物

――ほかにも、新しい挑戦が続く。昨年から「長崎の変」のクリエイティブプロデューサーに就任し、地元・長崎の地域活性と人口創出を推進。同時にの殺処分問題にも取り組み、福山自身も4年前から、トラとオレ、2匹の保護猫と暮らしている。

福山:猫という存在は、何とも摩訶不思議な生き物ですよね。いい意味でとことん個人主義。トラは茶トラ猫ゆえにトラ。オレはカフェオレ色ゆえにオレ。それぞれ性格も違って、トラはサービス精神旺盛で超甘えん坊。オレはそっとしておいてほしいタイプ。

 オレは、生後1週間くらいのときに側溝に落ちて動けなくなっていたところを保護されたのですが、生まれつき右の前脚がありませんでした。だから、いつも右目だけ目ヤニがついていて、その目ヤニを取るのが僕の日課です。そのときだけは、じーっと気持ちよさそうに目を閉じている(笑)。たとえこちらを振り向いてくれなくても愛情を注ぐのだって、愛のひとつの形だなと思いながら、日々目ヤニを取っています。でも、「主従関係が逆転してない?」って、たまに思いますけどね(笑)。

(ライター・澤田憲)

AERA 2022年9月26日号