AERA 2022年6月27日号より
AERA 2022年6月27日号より

HIKAKIN:そこから大きく変わって、今はチームでやっています。編集も企画も、みんなで頑張っている。最初から最後まで自分で作り上げる場合、自分のこだわりが全部に行き届くから濃いものができてファンがついていくという面もあります。好き勝手に一人でやっていた頃と比べて、チームでやるのは別のスキルも必要になってくるので大変ではありました。でも動画を出す頻度が上げられたり、変わっていく環境の中で、自分も変えていけたから今の自分があると思っています。周りを見て、それにちゃんと合わせて変化していく。すごく難しいんですけどできているかなと。

──HIKAKINさんは、チームでは管理職的な立場に? 

HIKAKIN:僕は演者でもあるんですが、自分の脳内で“撮りたいイメージ”があって、それをみんなに伝える役目です。最初は「マジかよ」と思われるぐらい編集で細かいことまで全部伝えて。今は毎日編集してくれるスタッフがいるんですが、僕のそういうこだわりが伝わって、もう僕より上手くなってくる。「自分じゃないとできない」なんて幻想なんだと思いました。でも仕上がったものは最後に絶対しっかり自分で見て、直してから出します。それだけは一生やめたくないです。

周りが見たいならやる

──例えばどんな直しですか。

HIKAKIN:普通の人だったら気付かないような、やらなくてもいいんじゃないか、というところを直してしまいますね。テロップの色とか、声のボリュームが小さいところを一カ所ずつ上げていくとか。変顔する時にもうちょっと早くズームかけたいなとか。細かいことですが、うまくいっているうちは、やる意味があると信じてやっています。企画を選ぶのも直感なので「なんでこれはだめなの?」と言われても理屈では説明しづらい。「ずっとやってきたからわかる」としか言えないんです。十何年やってきて、視聴者の求めるものが感覚でわかるという感じです。

──これまでに影響を受けてきたクリエーターは?

HIKAKIN:常にYouTube全体を見て、時代に合わせる、流行りに合わせるっていう感じで特定の誰かを見続けることはあまりないんですが、(YouTuberの)はじめしゃちょーは仲間であり良きライバル。まだ頑張れる、もっと頑張んなきゃと思わせてくれたのは、彼ですね。

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良きライバル、はじめしゃちょーとの「違い」