(AERA 2021年12月6日号より)
(AERA 2021年12月6日号より)

日本人の多くが寝不足

 昼下がりは生体リズムの影響で眠気が強くなる。睡眠不足だと、それに拍車がかかるという。実際、日本人の多くは慢性的な睡眠不足だ。適切な睡眠時間は人によって異なるが、標準的な成人では7時間から8時間程度は必要だと考えられている。

 厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」では、20歳以上の73%が1日の平均睡眠時間が7時間未満と回答した。経済協力開発機構(OECD)の「Gender data portal」によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分(2016年)。「7時間の壁」は越えているものの、データのある33カ国で最も短く、トップの南アフリカ(9時間13分)とは約2時間の差があった。

 夜になっても明るく、寝る直前までブルーライトを浴びる生活では、就寝時間は自然と遅くなる。一方、朝8時台から始業という企業も多い。睡眠不足はもはや現代人の宿痾(しゅくあ)ともいえ、昼寝を必要とする人は多い。

 また在宅勤務の浸透は、日常的に昼寝できる人を大きく増やした。寝具メーカーのコアラスリープジャパンが今年3月に行った調査では、「在宅勤務に伴い新たに習慣化した行為」として28.6%の回答者が「昼寝や仮眠」を挙げている。(編集部・川口穣)

AERA 2021年12月6日号より抜粋

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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