日暮里・舎人ライナーは脱輪(c)朝日新聞社
日暮里・舎人ライナーは脱輪(c)朝日新聞社

 今回の被害で山村所長が最も問題だと指摘するのが、水道管からの漏水だ。都内では、足立区、世田谷区、大田区など9区の計23カ所で漏水が起きた。

 都水道局によると、原因は水道管の老朽化による破裂や損傷ではなく、水道管内にたまった空気を抜くための「弁」が地震の揺れでズレた結果だという。都内にある約2万7千の水道管のうち約1万6千カ所に空気弁は設置されており、東日本大震災でも揺れで約80カ所から漏水した。その後、全てよりコンパクトで揺れに強い空気弁に換えたが、再び漏水したという。

「今回なぜズレたのか、原因を調査していきたい」(都水道局)

■水道の老朽対策も急げ

 これに対して山村所長は、「震度5程度の揺れで空気弁がズレるのは非常に心もとない。水道管そのものは丈夫にできていますが、配管と配管をつなぐ継ぎ手の部分やバルブはダメージを受けやすく、耐震化が必要です」と指摘する。さらに山村所長は、今後、水道管の老朽化が問題になってくるという。

 法律で定められた水道管の耐用年数は40年。厚生労働省によると、40年を超えた割合(老朽化率)のワースト1位は大阪で31.7%。次いで神奈川(25.6%)、京都(24.9%)と大都市が占め、東京は16.2%だ。

「財源や人材の問題もありますが、災害に強い水道インフラの実現に向け、耐震化と老朽化対策は喫緊の課題です」(山村所長)

 鉄道にも大きな被害が出た。

 足立区を走る新交通システム「日暮里・舎人(とねり)ライナー」が地震で脱輪し、4日後の11日にようやく運転を再開した。

 鉄道ジャーナリストの松本典久さんは、新交通システムのもろさが露呈したと指摘する。日暮里・舎人ライナーは、専用軌道をゴムタイヤの車両が走行する仕組みだ。松本さんは言う。

「新交通システムは他の交通機関との交差を避けて、大半が高架で建設されている。車両が軽くつくられているのも特徴で、高架橋の強度もその荷重に合わせて設計されたと思われる。しかも、東京モノレールのように、軌道とがっちり組んだシステムではない。そのため、被害が大きくなったのではないか」

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