職場の適応障害、上司の「無知」で症状悪化…「精神論」など四つのNG対応 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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職場の適応障害、上司の「無知」で症状悪化…「精神論」など四つのNG対応

羽根田真智AERA#働き方
AERA 2021年7月19日号より

AERA 2021年7月19日号より

AERA 2021年7月19日号より

AERA 2021年7月19日号より

森下克也(もりした・かつや)/心療内科医。『もし、部下が適応障害になったら』(CCCメディアハウス)など著書多数(写真:本人提供)

森下克也(もりした・かつや)/心療内科医。『もし、部下が適応障害になったら』(CCCメディアハウス)など著書多数(写真:本人提供)

 職場のストレスが要因で適応障害を発症する人は多い。上司の対応次第で症状をこじらせかねないため注意が必要だ。「適応障害」を特集したAERA 2021年7月19日号から。

【図】部下が適応障害になったら…間違った対応はコチラ

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「もりしたクリニック」院長の森下克也さんのもとには、職場のストレスで心身のバランスを崩してしまった人がたくさん来院する。一連の治療の主体は患者だが、適応障害では外部環境のストレス要因が必ず存在するため、職場の上司の役割が極めて重要になる。

「そこがうまく機能しないと、治療が誤った方向に導かれてしまうことさえあります」(森下さん=以下同)

 ゲーム開発会社に勤務する36歳の男性は、もともとは仕事に没頭するタイプではなく、休日には仲間と海へサーフィンに出かけていた。ところが1年ほど激務が続き、帰宅が深夜に及ぶ日々が続いた。休日出勤も頻回で、海に出かける機会は減ってしまった。

 男性に変化が見られたのは、1カ月の残業が100時間に迫るようになった時だ。ミスが続き、上司が男性を呼び出し話し合いが行われたが、体調については言及されなかった。男性は一層自分を奮い立たせようとしたものの、気力や体力が以前のようについていかず、休日も起き上がれなくなった。やがて平日も朝起きられなくなり、森下さんのクリニックを受診。適応障害と診断された。

■対応がわからない上司

「私は産業医としていくつかの企業の社員のメンタルヘルスケアにも携わっていますが、各部門の上長やグループリーダーの立場にいる人たちと話をする時、決まって出される質問が『適応障害などメンタルの病気の部下にどう対応していいか分からない』というものです」

 上司の取りがちなNG対応は、主に四つ。「何もしない」「精神論に置き換える」「『この程度で』と自分の価値観で判断する」「自分に任せとけ」──。

「何もしない」は、例として挙げた男性のケースでもそうだが、部下の様子がおかしいことに気づきさえしないことも含む。「精神論」は、ある年代以上にはまだ根強く残っており、「自分の価値観で判断」も、上司が競争に打ち勝ってきた人であるほどよく見られる。いずれも適応障害に対する誤った態度であることは想像できる。しかし「自分に任せとけ」はなぜNGなのか?

「親身になって一生懸命なのですが、部下を抱え込み、1対1の濃密な関係性を作り上げてしまう。『会社に知られると不利になるから』と部下の症状を秘匿する場合もあり、かえって症状をこじらせてしまう」


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