リリベットちゃんの誕生に、王室側もお祝いのメッセージを送った。エリザベス女王は「サセックス公爵と公爵夫人」の称号を使用した。しかし、チャールズ皇太子とカミラ夫人(73)は、「ヘンリーメーガン、アーチー、リリベット・ダイアナ」と称号がなかった。ウィリアム王子とキャサリン妃も「ベビーリリの誕生を喜んでいます。ヘンリー、メーガン、アーチーおめでとう」とした。称号がないのは初めてのことなので、注目された。もうすでにヘンリー王子一家は、一般人の扱いになったのだろうか。

 ただ、キャサリン妃は、一家の称号である「ケンブリッジ」の3人の子どもたちと、アーチー君とリリベットちゃん兄妹は、将来を考えると仲良くするべきだと考えているという。そのためにも、ヘンリー王子一家との確執はきちんと解決させたいとしているようだ。米国の雑誌は、ある情報筋の話として、ウィリアム王子夫妻はすでにリリベットちゃんにプレゼントを贈ったと報じている。

■和解のカギは除幕式

 また、ヘンリー王子夫妻はメーガンさんが退院後、自宅ですぐにリリベットちゃんをビデオ電話を通じて女王と対面させた。

 さて、7月1日にはダイアナさんの銅像の除幕式がケンジントン宮殿で行われる。ヘンリー王子も渡英するといわれており、女王は宮殿での「ランチ」に招いている。

 これは「オリーブ・ブランチ(平和・和解を求める象徴)」なのだろうか。その場の話題は、やはりリリベットちゃんに集中するだろう。

 リリベットちゃんは果たして王室とヘンリー王子夫妻を和解に導く立役者になるのだろうか。それとも亀裂はさらに深まるのか。

 生まれたばかりというのに、英米の国籍を持つリリベットちゃんが背負うものはあまりに大きい。(ジャーナリスト・多賀幹子)

AERA 2021年6月21日号より抜粋

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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