メーガンさん (c)朝日新聞社
メーガンさん (c)朝日新聞社

 英王室を離脱したヘンリー王子(36)とメーガンさん(39)に、6月4日、第2子の長女リリベット・ダイアナ・マウントバッテン・ウィンザーちゃんが誕生した。何かと話題の夫妻だが、今回は長女の名前が波紋を呼んでいる。実は「リリベット」はエリザベス女王の愛称。英王室や英国民にとって思い入れのあるその名前は、英国民はもちろん、ほかのロイヤルファミリーでさえ使わない「聖域」だったからだ。そんな「聖域」に夫妻が踏み込んだ背景には、ある思惑が見え隠れする。AERA 2021年6月21日号で取り上げた。

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 実は、「リリベット」と名付けたのには、メーガンさんの危機感がある。一つは、署名活動だ。昨年に暴露本『メーガンとハリー:真実の物語』を著したレディ・コリン・キャンベルさんが始めたもので、ヘンリー王子に称号放棄を求めている。開始から約3週間の6月8日時点で、6万人を超す署名を集めるなど、予想以上の反応である。

■皇太子の意向が影響

 もう一つは、チャールズ皇太子の意向だ。国王に即位した際には王室をスリム化すると明言している。ロイヤルファミリーを直系に絞り、第2子以降は自力で生きていくことを望んでいる。国民の税負担感を和らげるためで、欧州ではスウェーデンに先例がある。ヘンリー王子は王室から離脱したとはいえ、王位継承権は残り、いまは王室の称号も名乗れる。

 こうした状況から、メーガンさんは称号が剥奪(はくだつ)される日のことを考えているのだろう。夫妻はネットフリックスやスポティファイと契約を結び、児童書『ベンチ』を出版した。いずれも王室の称号があればこそ実現したことを、承知しているからだろう。講演も例外ではない。王子もメーガンさんも、「サセックス公爵と公爵夫人」と紹介されて舞台に上がったはずだ。

「リリベット」と「ダイアナ」。この二つの強力な名前があれば、王室との関係は切れようがない。そこに夫妻の強い意志が感じられる。アーチー君はロンドン生まれだが、むしろ英王室的ではない名前と言われた。そこでリリベットちゃんには、ロイヤルファミリーゆかりの名前を刻み込んだのだろう。

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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