内親王である愛子さま、秋篠宮家の眞子さま、佳子さまは、現行制度では婚姻に伴い皇籍を離れることになる (c)朝日新聞社
内親王である愛子さま、秋篠宮家の眞子さま、佳子さまは、現行制度では婚姻に伴い皇籍を離れることになる (c)朝日新聞社
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 3月23日から始まった、安定的な皇位継承を議論する政府の有識者会議。その大きな論点となっている女性天皇や女性宮家について、AERA 2021年5月3日-5月10日合併号で取り上げた。

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 20年2月の予算委員会で「安定的な皇位継承策の検討」を質問、菅義偉官房長官(当時)から「『立皇嗣の礼』終了後」に本格化させるという答弁を得たのは、山尾志桜里衆院議員だ。生前退位実現以降、皇位継承問題が国民の関心事でなくなっていると感じている。次世代を担う男性皇族悠仁さましかいないのは事実だが、そのことを正面から取り上げるより、女性皇族の立場を話す方が自分ごと化してもらいやすいという。

「自分が将来天皇になるのかならないのか、結婚後に皇族でいるのかいないのか、自分たちで決められないのに、決めるべき人が決めてくれない。男の子を産まないと国家の礎が揺らぐ。そんな状況に生身の女性が置かれていて、今後も置かれ続ける。だから人と人同士、思いを寄せましょう、制度は私たちしか変えられないのだから」と山尾さん。女性天皇、女系天皇、女性宮家は「幸運な、偶然の一致」なのですから、と続けた。

「制度のために人が犠牲になるということが少なからずあるのだけど、この手段は偶然にも『天皇制という制度』を続けていくことと、女性皇族のみなさんに少なからず豊かな人生を歩んでいただくこと、その両方ができるんです。すごく幸運な、偶然の一致ですよね」

 女性、女系天皇は、各種世論調査で国民の7割以上が容認しているという結果も出ている。

「多くの国民が望み、制度も続き、皇族のみなさんも今より良い環境に置かれる。そんな唯一解がここにあるのに、実現されないのはおかしいですよね」

■担っているのは人

 ただしこの問題は、敵味方に分かれて一分も譲らないというやり方ではなく、少しずつ歩み寄っていく、そういう柔らかな進め方が必要とも考えている、と山尾さん。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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