「女性宮家、女性天皇まで共有できるなら、そこまでを実現して、『女性天皇の可能な社会って問題ないよね』と同じ景色を見てから、女性天皇のお子さんについて話していく。そんな方法があっていいかな、と思います」

 そのためにも一政権が人選した「有識者」が同じく「専門家」から話を聞いて、国民の見えないところで議論するという今の有識者会議だけではなく、生前退位の時のように衆院議長のもと国会議員が超党派で集まり議論をする形を取りたい、と山尾さん。最後に小室さんの問題ばかりに国民の目がいっていることについて尋ねたら、こんな答えが返ってきた。

「国家とか皇室制度は、みんなでつくっている一種のフィクションだと思うんです。フィクションを担っているのは人で、人は誰にでも足らざるところはある。そういうものを補完しながら守り、つないでいくと決めたのが現代社会における天皇制度だから、その核心部分は優しさとか思いやりではないかと思います」

(コラムニスト・矢部万紀子

AERA 2021年5月3日-5月10日合併号より抜粋

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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