■オンライン診療も可能

 都内で保険調剤薬局を展開している「メトロファーマシー」の管理薬剤師の守(もり)麻美さんは「命にかかわる新型コロナ対策を優先させるのはやむを得ない」と換気の必要性を認めた上で、空気清浄機を設置したり、立体吸着シートでこまめに床掃除をしたりして花粉をできるだけ除去するよう室内環境を整えることを勧める。室内に入る花粉をできるだけ抑えるには、カーテンを閉めたまま窓を開ける幅を小さくして換気することも大切だ。送風機を使って、室内に入った花粉を室外に送り出す空気の通り道を確保するのも有効だという。

 守さんは花粉症患者の「変化」も感じている。守さんが勤務する都内の店舗では12月に入ると花粉症の処方薬を受け取る人がちらほら現れ、年明けに増えてくるのが例年のパターン。しかし今シーズンは1月上旬時点で皆無という。守さんは「新型コロナの影響で花粉症の患者さんの足が遠のいているのかもしれません」と懸念を示す。

「緊急事態宣言下で受診しにくいと考える人もいると思いますが、オンライン診療でも薬の処方は可能です」

 そう受診を呼び掛けるのは前出の大久保教授だ。受診をためらう人の中には、新型コロナの初期症状と花粉症の症状の見分けがつきにくい、という人もいるかもしれない。大久保教授はこうアドバイスする。

「新型コロナに特徴的なのは味覚や嗅覚に障害が出ることです。鼻づまりによって匂いがしなくなる花粉症の症状と似ていますが、鼻づまりが治まったときにも匂いがしない場合、新型コロナに感染した可能性も疑うべきでしょう」

(編集部・渡辺豪)

AERA 2021年1月25日号

著者プロフィールを見る
渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

渡辺豪の記事一覧はこちら