たとえば、例年は花粉の飛来シーズンにマスクや眼鏡を着ける程度の対策で過ごしてきた人は、症状の兆候が出ればすぐに服用できるよう市販薬を購入しておく。これまで市販薬で対応してきた人は医療機関を受診し、処方薬をもらっておく、といった一歩先の対応だ。

 ただ、花粉症で最もポピュラーな抗ヒスタミン薬でほぼ症状を止められる人は7割ほどに限られる。十分な効果を得られない人は、レーザーで鼻の粘膜を一時的に凝固させる「レーザー療法」や、抗IgE抗体製剤「ゾレア」を摂取するなどの治療法も選択肢になる。

 日本気象協会が昨年末に発表したスギ花粉の飛散予測によると、2月上旬には九州や四国、関東地方の一部から花粉シーズンがスタートする見込みだ。

 飛散量は広範囲で例年より少ないと見込まれているが、留意しなければならないのは前シーズン比(昨春との比較)では九州から関東にかけて非常に多くなるエリアもあるということだ。前シーズンの飛散量が例年よりも非常に少なかったためで、前シーズンに花粉症の症状が軽かった人も今春は注意が必要だという。

 そんな中、花粉症の人にとって「逆風」ともいえるのが室内の換気だ。新型コロナ対策では換気が必要とされているが、花粉症では逆に外気を遮断することが求められるからだ。

 環境省の花粉症環境保健マニュアルによると、3LDKのマンションで花粉の最盛期に1時間の換気を行った場合、約1千万個の花粉が屋内に流入した、との実験結果がある。

 新型コロナ対策の換気は飲食店や職場、電車などの公共交通機関にも広がっている。店舗で食事中や電車で移動中に花粉を吸い込み、くしゃみが出れば、周囲の厳しい視線を浴びるのは必至。どうすればいいのか。

次のページ