今年の花粉の飛散は例年より少ない地域もあるとはいえ、楽観できない。くしゃみなどで他人を新型コロナに感染させるリスクがあるだけに、これまでにない「注意」が必要だ (c)朝日新聞社
今年の花粉の飛散は例年より少ない地域もあるとはいえ、楽観できない。くしゃみなどで他人を新型コロナに感染させるリスクがあるだけに、これまでにない「注意」が必要だ (c)朝日新聞社
AERA 2021年1月25日号より
AERA 2021年1月25日号より

 本格的な花粉のシーズンが、まもなく到来する。だがコロナ禍の今年は、いつもと違う。目をこすったりはなをかんだり──花粉症のつらい症状にコロナ感染のリスクが潜む。AERA 2021年1月25日号では、コロナ禍の花粉症対策について専門家に話を聞いた。

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 今年もスギ花粉に悩まされる季節がめぐってきた。すでに鼻がムズムズし始めている人もいるのではないか。だが今はコロナ禍。しかも緊急事態宣言が発出中だ。テレワークなどでそもそも外出機会が減り、外出時はマスクを着けるのが習慣になっている。そんな状況下で、花粉症に悩まされる人は例年よりも少なくなると考えてもよいのだろうか。

■マスクと「在宅」で軽減

 アレルギー疾患のエキスパートで、花粉症治療の先駆者である日本医科大学の大久保公裕教授はこう話す。

「インフルエンザ、新型コロナウイルス、風邪、花粉症のいずれにも通じる対策としてマスクは有効です。加えてテレワークの導入が進み、花粉の飛散シーズンに外出を控えることが可能な人が増えれば、花粉症の症状は総じて軽減されることが期待できます」

 コロナウイルスは直径0.1マイクロメートルで、スギ花粉は直径30マイクロメートル。一般的な不織布マスクは5マイクロメートル程度より大きな粒子の侵入を防ぐとされている。隙間をつくらず顔面にぴったり張り付くようにマスクを装着すれば、花粉の侵入はほぼ防止できる上、飛沫に含まれるウイルスの感染を防ぐのにも一定の効果がある。

 実際、この冬は新型コロナとインフルエンザの同時流行が危惧されたが、今のところインフルエンザの患者は記録的に少ないことが報告されている。新型コロナ対策として実施されてきたマスク装着や手洗いの励行のほか、海外との人の出入りが少ないことなどが要因に挙げられている。

 ただ、楽観は禁物だ。花粉症患者にとって今年は修羅場になる可能性もある、と大久保教授は見込んでいる。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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