地区ごとにこの事業が利用された件数や、クラスター発生件数の相関関係の分析から、事業が原因で発生したクラスターが8~17%と推計した。

 フェッツァーさんは英国版イート事業を批判する。

「実施期間中は飲食店の利用が例年より増えたところもあったが、実施が終わると利用者は減り、結局飲食業界に客は戻ってこなかった。そればかりかこの事業による感染者の増加が秋の感染者急増にもつながり、かえって経済に悪影響を及ぼしたのではないか」

■イートの一時停止も

日本のGo To イートが第3波の一因になっているかどうかはまだ不明だが、利用者が大勢いることは確かだ。10月1日に始まった、オンラインで予約した場合にランチで1人500円分、午後3時以降の食事で1千円分のポイントがもらえるキャンペーンは、開始から1カ月半ほどで利用者が延べ5千万人にのぼり、農林水産省の予算がなくなって早期に終了するほど人気だった。これ以外に、食事券を購入するタイプなども人気で、いまなお継続中だ。

 以前から、政府の分科会は、会食、特に飲酒を伴う会食や懇親会、ホストクラブなど接待を伴う飲食店で感染が広がりやすいと注意喚起していた。

 10月下旬に公表したクラスター分析では、結婚式のような式典で複数の家族が集まる会食や学生の懇親会でのクラスターを紹介。式典でクラスターが発生した原因として、2次会や3次会で長時間一緒にいたこと、大声で長時間にわたり話したこと、スプーンの共有、大皿での食事や、予定より大人数が参加した点などを指摘した。

 分科会は11月25日、飲酒を伴う懇親会や、大人数が集まり長時間に及ぶ飲食は、酔って注意力が低下したり、聴覚が鈍くなって大きな声になりやすいことなどから感染リスクが高いので、開催をなるべく避けるよう改めて促した。

 分科会の提言などを受け、「ステージIII」に相当する地域とされた、札幌市や大阪市、東京23区、名古屋市などがある都道府県は、繁華街の飲食店に営業時間の短縮を要請した。Go To イートの食事券の発行や利用などを一時的に停止する自治体も出てきた。

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