11月13日、北海道の新規感染者は、235人となることがわかった。繁華街のススキノでは店舗に営業時間短縮の要請が出されている (c)朝日新聞社
11月13日、北海道の新規感染者は、235人となることがわかった。繁華街のススキノでは店舗に営業時間短縮の要請が出されている (c)朝日新聞社
AERA 2020年11月23日号より
AERA 2020年11月23日号より

 10月下旬以降、北海道で新型コロナの感染が急速に拡大している。寒さや乾燥といった季節的影響、寒冷地特有の「高断熱高気密」の住宅などの要因は考えられるのか。AERA 2020年11月23日号から。

【北海道の新規感染者数はこちら】

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、北海道が独自の5段階の警戒ステージを「2」から「3」に引き上げたのは11月7日の土曜日だった。週が明けた9日、営業時間の短縮を求められている札幌市の繁華街・ススキノで「スナック三貴」を経営する三希子ママ(45)が同伴の男性と一緒に人気の焼き鳥店を訪れると、他に客は誰もいなかった。

「繁盛店なんですが、この焼き鳥屋さんですらそんな状況なので『まずいな』と思いました」

 スナックでは3月、同じビルに入るライブバーでクラスターが発生し、感染対策に神経をとがらせてきたが、客は減った。4月から5月にかけては37日間休業。ホステスの女性も10人にまで減らしたが、1人客が多いため店の規模にしては多い方だ。再度の営業制限に、三希子ママはため息をつく。

「もちろん経営は厳しいですが、仕方ないですよね。現状で何ができるか考えてやらなければなりません。正直、ススキノだけが悪いのか、という思いもありますが……」

■北半球で感染拡大

 感染者は各地で増加傾向にある。日本医師会の中川俊男会長は11月11日の定例会見で「第3波と考えてもいいのでは」との見解を示した。すでに10月23日には世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長も記者会見で、「特に北半球で、我々は流行の重大局面にある」と警鐘を鳴らしていた。再び国内は緊張感に包まれつつあるが、「冬場にまた波がくる」とは以前からあった指摘だ。

 実際に北半球では次々と感染が再び広がっている。米国では感染者が1千万人を超え、ヨーロッパでは再び行動に制限をかける国もある。季節と感染リスクについて、どう評価すればよいのか。

 道内では寒さが増した10月下旬以降、感染者が急激に増えた。11月に入ってからは、1日の感染者が200人に達する日もあり、12日判明分の感染者は過去最多の236人に達した。単純に人口比で考えると、東京と比べても感染の広がり方が激しいことがわかる。

 北海道医療大学の塚本容子教授(公衆衛生学)は言う。

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