そこで菊池院長がすすめるのが、タオルを指でつかむタオルギャザー。足裏や足指、足のアーチをつくる筋肉を鍛える効果があるという。足のアーチがきれいに保たれていれば、体重は理想的に分散され、足に無理な負担をかけずに歩くことができる。

 正しい歩行ができているかどうかは、靴底のすり減りでも確認できる。

 理想的な歩き方ができていれば、かかとのやや外側とつま先のやや内側がすり減っているはず。かかとの内側が大きくすり減っている場合は、重心が内側に傾いている可能性がある。左右非対称の場合も、足のアーチの崩れが考えられる。

「靴の裏のすり減り具合は年齢によっても異なります。高齢者は足全体でペタンと歩くため、かかとが減りません。また、若くてもヒールをはいてペタペタ歩きがクセになっている人は、かかとがすり減らない傾向にあります」(同)

 どんな靴を履くのかも重要だ。やはり、ハイヒールやパンプスなどは、足への負担が大きいという。

「不安定な靴を履くと、足を筋肉で支えなければならず疲れやすい。特にハイヒールの場合は体重が足先にかかってしまう。人さし指の下に縦向きのタコができるし、外反母趾になる可能性もあります」(同)

 最近はスニーカー通勤も受け入れられるようになってきたが、ハイヒールやパンプスを履かなければならないこともあるだろう。その場合は、できればヒールが4センチ以下で、足首や甲が固定できるものを選ぶとよいという。<ブーツ→ブーティー→ストラップ付きのパンプス→パンプス>の順に、足にかかる負担は増す。気楽そうに感じる大きめのサンダルなども足が固定されず、意外に負担がかかるというから要注意だ。

「負荷のかかる靴を履いた日は、足をケアすることが大切です。風呂上がりに10分程度、ふくらはぎをもみ、足指を曲げて伸ばし、足指の間を広げる習慣をつけてください」(同)

(ライター・井上有紀子)

AERA 2020年10月12日号より抜粋