家事総量を減らすために大事なのが「効率化」だ。効率化というと集中が大事かと思いきや、小刻みについでにやることが大事らしい。たとえば、フロアワイパーを目につく場所に置きっぱなしにして、お茶を淹れるたびにサッとひとかけする。トイレで自分が用を足すたびに、便座やドアノブを拭く。浴室を覗いたら、カビ取りスプレーを噴射する……。

 こうすることで長時間の掃除が必要な大きな汚れになる前に対処できる。家事についてはまとめるより、小刻みにするほうが総量が減るというわけだ。つまり、在宅時間が長くなるテレワーク中は家事効率化の最大のチャンスとも言える。

 効率化のための細かいテクニックはほかにもさまざまある。洗濯物は取り込みやすいよう家族各人ごとにまとめて干す、すぐに焼けるよう切った野菜をホイルに包んでストックしておくなど。理想は、「時間がかからない」「やりっぱなしにできる」「考え事をしながらでもできる」の3条件を満たした家事。家事はできる時にやるのが正解で、あらかじめ掃除の時間をとっておくなど、スケジュールを無理に決め込むのもご法度だという。

「家事はしっかりやるものという固定観念がありますが、働き方やライフスタイルに合わせていい。ハードルの低い家事を週1回でも取り入れれば、ぐんとラクになります」(大橋さん)

 しっかり押さえておきたいことが一つある。「家事動線」だ。

「床にカバンや宅配便の段ボールが置きっぱなしでは、ワイパーをかけるときに邪魔になります。机の上も必要なもの以外を片づけておけば、ふきんがけも苦にならない。家事をしやすい環境づくりも大切です」

 家事が大変だという人に限って家事動線がグチャグチャで、実際の家事に入るまでに時間がかかり嫌になってしまう。

 緊急事態宣言以降の家事動向にも変化が起きているというのは、タスカジ広報の門出(もんで)万里子さん(37)。

「アンケートでは約6割の人が整理収納や家具の配置換えを意識していると答えました。事前の片づけが効率的な家事につながり、それが家事総量を減らすことにもつながります」

(編集部・福井しほ)

AERA 2020年7月27日号

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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