AERA 2020年7月20日号より
AERA 2020年7月20日号より

 東京都の新規感染者が立て続けに200人を超えている。拡大の震源地とされるのが「夜の街」だ。 だが専門家は現状でさえ「検査が少なく感染者が隠れている」と指摘する。AERA 2020年7月20日号で掲載された記事から。

【写真】新規感染者が相次ぐ新宿・歌舞伎町

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 東京都の担当者によると、都内のPCR検査のキャパシティーは1日に3100件ほどだという。だが実際の検査は平日でも1400~2700件程度だ。フル稼働していないのは需要がないから、との認識で、「検査が受けられないという状況ではない。十分な態勢だ」(担当者)。今後、1万件ほどに増やしていく計画もあるという。

 一方で、現行の検査態勢の改善を強く求めるのは、山梨大学の島田真路学長だ。2002~03年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した際は、同大医学部付属病院の感染対策委員長を務めた。

「現時点でマックス3100件というのであれば、毎日、マックスの検査をするべきだ。それができないのであれば、いい加減にやっていると言われても仕方がない」

 島田学長は、国内のPCR検査の数が抑えられ、感染の拡大状況が分からない状況を作ってしまったとして、繰り返し批判の声を上げてきた。都が現在、特定の地域、年代の人たちを対象に検査を強化している点についても「限界がある」とみる。

「本格的な検査拡大を避けて感染者を隠し続ければ、本当の意味での第2波が来るでしょう。極めて中途半端な方法でやっているPCR検査のやり方を改めて、本気でやるべきです。生き死にの問題がかかっているのですから」(島田学長)

 東京都の現状について、島田学長は「第2波の可能性がある」とみている。PCR検査や抗原検査の強化の他に、有効な対策はないのか。

「ロックダウンです。それができないのであれば、PCR検査を徹底して陽性者を隔離する。この二択です」(同)

 第1波では、医療崩壊を防ぐためなどとして重症者を優先させて検査と隔離を行う傾向があった。都内で検査のキャパシティーを少しずつ上げているとはいえ、もし今回が第2波だとすれば、病床や医療スタッフ、マスクやガウンといった防御具などの医療態勢に不安はないのか。

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