転・コウ・生/(左上から時計回りに)柴咲コウさん、柴咲さんの愛猫ノエルちゃん、高橋一生さん、ムロツヨシさん。「直虎」で共演し信頼関係のある3人の掛け合いは、息ピッタリ。ノエルちゃんの自然な演技も好評だった(写真:NHK提供)
転・コウ・生/(左上から時計回りに)柴咲コウさん、柴咲さんの愛猫ノエルちゃん、高橋一生さん、ムロツヨシさん。「直虎」で共演し信頼関係のある3人の掛け合いは、息ピッタリ。ノエルちゃんの自然な演技も好評だった(写真:NHK提供)

 4月から5月にかけて、多くのドラマが撮影休止に追い込まれた。再放送がテレビの番組表を埋めるなか、スタッフと出演者が離れた場所から撮影する「リモートドラマ」が登場した。AERA 2020年7月6日号に掲載された記事を紹介する。

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 緊急事態宣言が発令される直前の4月1日、NHK大河ドラマと連続テレビ小説の収録を休止したと報じられた。NHK編成局編成センター副部長の岡本幸江さん(50)はこう振り返る。

「3月頃から収録が止まってしまう予感はありましたが、それが現実のものとなった。日々の番組を編成する立場からは、切羽詰まる思いがありました」

 ドラマ収録現場には出演者や大勢のスタッフが集結する。休止はやむなしと思いながらも、今、人に寄り添う新作ドラマを届けることはできないか。そう思った岡本さんは、「おんな城主 直虎」(17年)でタッグを組んだ脚本家の森下佳子さんに相談。自粛期間中でもできるドラマ作りが動き出した。

 その名も「今だから、新作ドラマ作ってみました」。30分の3番組が、5月4日、5日、8日に順次放送された。その一つ、森下さんが脚本を手がけた「転・コウ・生」の出演者は、柴咲コウさん(38)、ムロツヨシさん(44)、高橋一生さん(39)の「直虎」メンバー。4月半ばにはプロットが完成。柴咲コウがムロツヨシと入れ替わり、今度は、高橋一生とも入れ替わって大混乱! というファンタジーコメディーだ。しかし、どう撮るか。会議を重ね、スマホ、マイク、三脚を出演者に送り、自らセッティングしてもらうこととなった。

 4月下旬、スタッフは全員自宅から、出演者はそれぞれの場所からという「ステイホーム」の収録が始まった。メイクやスタイリングは自前。料理などの消えモノも出演者自ら用意した。撮った映像は演出担当の家にバイク便で送られ、そこからスタッフそれぞれの自宅で編集作業や音楽入れなどを行った。

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