発達障害と思春期「ゴールは一つじゃない」 困難の「底無し沼」を越えた当事者のリアル (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

発達障害と思春期「ゴールは一つじゃない」 困難の「底無し沼」を越えた当事者のリアル

古川雅子AERA#発達障害
岩野さんが運営する「HORIZON LABO OMOTESANDO」で。もともとは、群馬県の自宅兼店舗の一角で始めたコーヒー豆販売店。通販用の豆を焙煎する工場かつ、焙煎研究の場でもある(撮影/今村拓馬)

岩野さんが運営する「HORIZON LABO OMOTESANDO」で。もともとは、群馬県の自宅兼店舗の一角で始めたコーヒー豆販売店。通販用の豆を焙煎する工場かつ、焙煎研究の場でもある(撮影/今村拓馬)

AERA 2020年4月13日号より

AERA 2020年4月13日号より

かなしろにゃんこ。『うちの子はADHD』(講談社)から。思春期の息子と母の親子喧嘩や、金銭感覚をどう身につけさせたかなど、実体験を赤裸々に描く

かなしろにゃんこ。『うちの子はADHD』(講談社)から。思春期の息子と母の親子喧嘩や、金銭感覚をどう身につけさせたかなど、実体験を赤裸々に描く

 前出の横浜市の親子は、中2から理解ある担任に恵まれ、徐々に落ち着きを取り戻した。受験を意識し、中3から「時間差通学」できるようになった。

 思春期に当事者たちが直面するジレンマの一つが、親と子が「障害をどう受容していくか?」。

 漫画家のかなしろにゃんこ。さん(49)は、息子(21)の「発達の段階と理解の度合いに応じて」3回に分けて伝えてきた。

 息子にADHDと軽いASDがあるとわかったのは小4のとき。精神科のクリニックに通い、「僕、何か病気なの?」と聞かれ、答えに窮した。3学期になり、思い切って伝えてみた。

「あなたはずっと座っていられなかったりするでしょう? それはね、ADHDっていう発達障害があるからなの」

 かなしろさんは、息子が障害の特性を理解したら、工夫して特性をカバーする段階に入っていけると考えていた。だが、響いているように見えなかった。中2の時、息子が学校の友人とのけんかの愚痴をこぼしたタイミングで本格的に伝え直した。

「ADHDだから、どうしても熱くなっちゃうよね? だけど、『俺はダメなやつなんだ』なんて思わなくていいよ。発達障害のある人は割と偉人に多い。スティーブ・ジョブズもそう。天から授かった才能なんだから」

 息子は肯定的に捉え、「この時から、息子に『俺は選ばれた人間』くらいの陽気さが出てきた」とかなしろさんは振り返る。

 社会的な理解が進んだ高校生になってからは、「あなたの中に障害があるのではなくて、あなたが成長する段階で、まわりに段差ができる。そのまわりの段差が障害という意味だよ」ということも伝えた。

 20歳を過ぎた頃、息子に言われたことがある。「僕は今まで人と違う行動を取り、感性が違う理由は『だからなんだ』と理解はできた。でも最初は地獄かと思ったよ。『障害』という言葉がとても引っかかったんだ」

 かなしろさんは言う。

「理解できるキャパが年齢ごとに違う。いっぺんに障害を理解してもらうのは難しいから、スライド式の伝え方はお勧めです」


トップにもどる AERA記事一覧

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい