200人を予定していた来場者全員にマスクを配布し、受け付けに消毒液を置くなどして開催する方向で準備を進めていたが、2日前に緊急理事会を開いてオンライン開催を決めた。藤本あゆみ代表理事は言う。

「参加者の安全確保が一番大事。私自身は中止もやむを得ないと考えていましたが、オンラインで動画配信することで安全と開催が両立できました」

 カンファレンスは午前10時から午後6時半まで行われ、チケットを購入した約200人中、常時120~130人が生中継を視聴した。その時間にネット環境が整っていない人もいることを考慮して、開催から1週間は録画配信も行った。元々、記録用と会場のスクリーンに登壇者を映すためにカメラ機材やスタッフを用意していたため、追加の投資はほとんど必要なかったという。

「今回のようにステージを見るような形はオンラインでも可能だと思いましたが、企業同士のマッチングのような偶発的な出会いが重要なイベントではなかなか難しい。すべてのイベントがオンライン化できるわけではないですが、主催者のみなさんは中止を決断する前に、代案を考え、運営会社などに相談することも検討していただけたらと思っています」

(編集部・深澤友紀、渡辺豪)

AERA 2020年3月9日号

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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