「シングルをやり切ったという気持ちはなくて、新しいものに興味が湧いたというのが大きかったです。僕は、できるだけ長くスケートをして表現をしたい。フロアダンスや舞台で他ジャンルとコラボレーションした時に、いろいろな表現をするには1人だけではやっていけない。人と組むことの必要性を感じていました。引退後も自分の強みになるというのも、決めたきっかけでした」

 カップル結成にあたり、目標を話し合った。

「同じ目標を持ったほうが、よりよいものをつくり上げられる。相当大変だとは思うけれど、北京五輪を目指して一丸となってやるべきだと話しました」

 難しい挑戦だとはわかっているが、高橋は本気だ。

「シングルでは、ジャンプの問題もあるし、現実的に北京五輪でメダルは自分の実力では目指せません。でもアイスダンスなら、もしかしたら可能性は数%でもあるかもしれないと思いました。とにかく大きな目標は2022年です」

 五輪出場どころか、メダルさえ意識する発言だった。

 では実際にどんな課題が待ち受けるのか。高橋自身は謙虚な性格から、こう語る。

「課題はほとんど全部。身長差がないのは不利な部分になると思いますし、(シングルにはない)ダンスリフトやペアスピンが課題になります」

(ライター・野口美恵)

AERA 2019年10月14日号より抜粋