歴史的大勝利を喜ぶ選手たち(撮影/写真部・東川哲也)
歴史的大勝利を喜ぶ選手たち(撮影/写真部・東川哲也)
抱き合って喜ぶ選手たち(撮影/写真部・東川哲也)
抱き合って喜ぶ選手たち(撮影/写真部・東川哲也)
大金星の記念撮影に応じる選手たち(撮影/写真部・東川哲也)
大金星の記念撮影に応じる選手たち(撮影/写真部・東川哲也)

 まぐれでも、奇跡でもない。

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 世界ランク9位の日本が同2位の強豪、アイルランドから歴史的な勝利を挙げた。日本代表の愛称「ブレイブブロッサムズ」の名にふさわしい、勇敢な戦いぶりで手にした文句なしの勝利だった。日本のリーチ マイケル主将は「ずっと前から強い日本を見せると言い続けてきて、よくできたと思ってます」と胸を張った。

 それでも、試合前にどれほどの人がこの勝利を予想していただろうか。試合開始1時間前に、日本チームの試合登録メンバーの変更が発表され、故障のために登録外だった福岡堅樹が急遽エントリーされていたときには、記者やカメラマンの中から「次戦に備えて温存したほうがいいんじゃないのか」という声が漏れ、優勝候補のアイルランドにどうせ勝てやしないだろう、という雰囲気が漂っていたほどだ。

 だが、選手や指揮官は自らの勝利を本気で信じ、準備してきた。

 日本の司令塔で、この日14点を挙げたSO(スタンドオフ)田村優は試合後、こう言った。

「試合前にジェイミー(ジョセフ監督)が5行の俳句を詠んでくれた。『誰も勝つと思ってないし、誰も接戦になると思ってないし、僕らがどれだけ犠牲にしてきたかもわからないし、信じているのは僕たちだけ』っていうメッセージがあって。その通りになったと思います。僕たちは1週間アイルランドに勝つと信じて準備してきました」

 ジェイミー監督も試合後の記者会見でこう語った。

「我々は自分たちの信念を持って貫いた。この日のために長い時間をかけて準備してきた」

 それが結実したのがフォワード8人で組むスクラムだ。前半13分と20分に立て続けにトライを奪われ、苦しい展開で前半残り5分の場面、日本の陣地22メートルでアイルランドボールのスクラムというピンチだったが、日本が押し込んで相手の反則を奪った。アイルランドが得意とするスクラムで日本が勝った瞬間、スタジアムは沸きあがり、試合の流れが一気に日本に傾いた。

 ウォーと雄たけびをあげた前列右のプロップ(PR)具智元(グ・ジウォン)は、こう振り返る。

「スクラムは1本目から組んだ瞬間に、いい感じで組めていた。スクラムにこだわっているチームからペナルティを取れて流れを作ることができた」

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高いタックル成功率