その象徴が、2014年に開設された国際学生寮WISH(東京・中野)だ。872人収容で留学生比率が40%。25の国と地域出身の学生がおり、日本の学生も47都道府県出身の入寮生がいる。

「00年代に入り生活を通じて異文化コミュニケーション能力を育てる教育寮の必要性が高まりました。田無寮で実験的に実施したところ手応えがあり、大きな場所でやろうということになりました」

 早稲田大学レジデンスセンターの関口貴仁さん(34)はそう説明する。WISHでは平日の19時から90分、ソーシャルインテリジェンスプログラムが開講され、必ず週1回は出席することになっている。

「大学の勉強を補完する形で、社会人基礎力をつけるプログラムです」

 WISHの運営に欠かせないのはレジデント・アシスタント(RA)の存在だ。寮生のリーダーで、研修を受けて寮生活をサポートする。

 RAのレコント・ビビアンさん(21)は、政治経済学部4年生。フランスと台湾のダブルで、上海のフランス人学校で教育を受けた。東京にホームステイした時の印象が良かったので、早稲田を選んだ。

「この寮のRAは皆個性的で、優秀。一緒に仕事するだけで自分が成長できますし、寮生同士の連帯感は強いです」

(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年9月16日号