イラスト:土井ラブ平
イラスト:土井ラブ平
「朝だけ断食」の流れ(AERA 2019年4月1日号より)
「朝だけ断食」の流れ(AERA 2019年4月1日号より)
【鶴見クリニック理事長】鶴見隆史氏(70)/西洋医学に限界を感じ、東洋医学、栄養学、食養法などを研究。日本における酵素栄養学の第一人者として活躍。著書も多数(写真:本人提供)
【鶴見クリニック理事長】鶴見隆史氏(70)/西洋医学に限界を感じ、東洋医学、栄養学、食養法などを研究。日本における酵素栄養学の第一人者として活躍。著書も多数(写真:本人提供)

 増え続ける脂肪。ふと気付けばまるでアンパンマン。そんなアエラ男性記者が一念発起。「朝だけ断食」に取り組んだ。お金も手間もかからないのに、体重はなんと約5キロ減。しかも、うれしいおまけまでついてきた。

【16時間のインターバル?「朝だけ断食」の流れはこちら】

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 朝食を食べない生活をして、8カ月になる。正直、全くつらくない。むしろ、1日3食の生活に戻すのが考えられないほど、朝食を食べないメリットばかりを感じている。

 きっかけは、ある病気で投薬が必要になり、脂質代謝異常と食欲増進の副作用が出てしまったこと。食べても食べても満腹感が得られず、脂肪がどんどんたまっていった。顔と腹がパンパンにふくれあがるが、脂質代謝が落ちているので、ジムなどで運動してもなかなか痩せられない。この「アンパンマン」状態を何とか改善する策はないものかと思案して、行きついたのが「朝だけ断食」だった。

 記者は朝だけ断食開始から1カ月で体重が3.5キロ減り、現在では4.5キロ減った状態をキープしている。そこに至る詳細は後述するとして、まずは朝食を抜くだけで痩せるメカニズムを知っておこう。

『朝だけ断食で、9割の不調が消える!』の著者で、鶴見クリニック理事長の鶴見隆史氏はこう話す。

「現代の栄養学の基準は、昭和40(1965)年ごろに確立されたもので、明らかに『食べすぎ』なんです。成人男性は1日2千キロカロリーが必要で、1日30品目を満遍なくとろう、という現代栄養学の基準が主流となってから、がんや生活習慣病も増えていきました。成人男性でも、1日1600キロカロリーもあれば十分。1日3食は、人体の生理リズムにも反しており、朝食を抜いた方が健康を維持できるのです」

 鶴見氏によると、1日の人間の生理リズムは「排泄(はいせつ)」「消化」「吸収」の三つに分けられるという。午前4時から正午までは「排泄」の時間、正午から午後8時までは「栄養補給と消化」の時間、午後8時から午前4時までが「吸収と代謝」の時間となる(グラフ参照)。1日のうち、食事をとるのは8時間。次の食事まで16時間のインターバルをとるサイクルだ。

 午前4時から正午までは汗や尿、便などと一緒に体にたまった疲労物質や毒素、老廃物を体外へ出す時間だ。その分、正午から午後8時までの間に昼食、夕食をしっかりととって栄養補給をする。午後8時以降は食事を避けることで、深夜から早朝にかけて消化したものを体に吸収することができ、弱った部分を修復する機能が働くという。

 また鶴見氏いわく、食後8時間以上たつと、消化管でモチリンというホルモンが分泌される。モチリンには腸の運動を活性化させ、腸に残った老廃物の排泄を促す機能がある。空腹が長いほどモチリンは活発に分泌されるので、毎日16時間以上の空腹状態を作ることで、腸にこびりついた宿便も排泄され、便秘も改善するという。

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