稲垣えみ子「秋の終わり、隣の柿が気になってしょうがない」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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稲垣えみ子「秋の終わり、隣の柿が気になってしょうがない」

連載「アフロ画報」

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稲垣えみ子AERA#稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。著書に『寂しい生活』『魂の退社』(いずれも東洋経済新報社)など。『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』(マガジンハウス)も刊行

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。著書に『寂しい生活』『魂の退社』(いずれも東洋経済新報社)など。『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』(マガジンハウス)も刊行

なーんて書いてたらまた豆腐屋さんから柿が!合計すると50個くらいもらったかも……(写真:本人提供)

なーんて書いてたらまた豆腐屋さんから柿が!合計すると50個くらいもらったかも……(写真:本人提供)

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【稲垣さんが頂いた柿の写真はこちら】

*  *  *
 ああ季節とはまさに飛ぶように過ぎる。気づけばもう秋も終わりじゃないですか! 猛暑で大騒ぎだった夏もはるか昔の出来事のよう……。なので秋が終わっちまうのを前に、慌てて今秋に起きたトピックスを書き留めておく。

 主役は柿。我が大好物の柿。実は昔からずっと気になっていたことがありまして、それは、都内でも多くのお宅のお庭で見かける柿の木。秋になるとたわわに実をつけ、その渋い光景は実に美しいのですが、その実が全然減らない! つまりは収穫されてない! 食べてるのは鳥のみ! いや鳥が食べるのはいいんだが私だって食べたい。あれを何とか手に入れる方法はないかとずっと考えてきたのです。

 で、そのことを近所の知り合い(豆腐屋の主人、カフェ店主)に漏らしたら、なんと数日後には我が家に山盛りの柿が大集結。いずれも知り合いの家に柿の木があり、誰も食べる人がいないので放っていた、熟した柿が地面に落ちて掃除が大変だったので助かったヨとお礼まで言われたとのこと。

 頂いた柿は干し柿にしたり二日酔いの朝に食べたりと大活躍しましたが、それでも消費しきれず人様に差し上げたらお礼を頂いたりして、私はにわかにわらしべ長者ならぬ柿長者となったのです。

 一連の過程で、柿が収穫されないのは高齢者世帯では収穫が負担だからと教えていただいたことも収穫でした。柿の枝は折れやすく、高い所にある実を採るのは危険を伴うというのです。

 なるほど。それを聞いて私、すごくいいことを思いつきました!

 ご近所の「なりっぱなし」の実を収穫して差し上げるっていうのはどうでしょう? 確実に訪れる超高齢社会を生き抜くにはお金がいくらあっても足りやしない。「お互いさま」のふんわりした支え合いが不可欠ナリ。で、ご近所の高齢世帯の実の収穫を手伝わせて頂く。お礼は現物(実)支給。まさにお互いさま! 
付かず離れずの距離感で助け合える人がいるって現代における最大の財産であります。

AERA 2018年12月10日号


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稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。元朝日新聞記者。著書に『魂の退社』(東洋経済新報社)など。電気代月150円生活がもたらした革命を記した魂の新刊『寂しい生活』(同)も刊行

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