「一文を書き出すと話が自然と出てきます。キャラクターが勝手に動きだします」

 唯一苦労したのが、「大人目線の話を入れたい」という編集者の課題に応えた「放課後」。「大人はいつまで夢を見られるのか」がテーマだ。

「大人の哀愁を漂わせることが難しかったです。何度も書き直しましたが、自分でも味わい深い小説になったかなと思っています」

(ライター・坂口さゆり)

■書店員さんオススメの一冊

『キッチンで読むビジネスのはなし11人の社長に聞いた仕事とお金のこと』には、自己啓発書や経営書にはないヒントが満載だ。オリオン書房ルミネ立川店の田邊水玲さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

*  *  *

 雇用形態が多様化し、仕事へのアプローチはさまざまです。ですが、あまりに無執着な姿勢を目の当たりにすると違和感を覚えますし、非常に悲しい気持ちになります。どんな立場でもビジネスなんて難しいと開き直るのはもったいないと思うのです。

 本書は自己啓発書や経営書のように難しく捉えずに「ビジネスを日々の暮らしに落とし込んで生かすヒント」がたくさんつまっています。私はこれをさらに職場と置き換えて行動することで、豊かな環境が生まれ、自分自身が楽しく働けるのではと思うのです。

 個人的に一番共感したのは<選んでいる自分の審美眼をわかってほしいのか、あなたの必要をわかってあげたいのかでお店のスタンスが変わる>というクラシコムの佐藤友子さんの一節。今の自分にできることはまだあるはずだと、元気をいただきました。

AERA 2018年12月10日号