従来はそうしたキャリアデザインを、会社の人事がやってくれていた。だが、これからは学生時代から一人ひとりが自分で考えていかなければならない。

 キャリアを考えるのに、自分には「心からやりたいものがない」と悲観する必要はない。宇宙飛行士になりたいとか起業したいなど明確に夢がある人は世の中の1%程度。99%の人にとって、仕事とは「なりたい自分に近づく手段」だと私は思う。

 今の状態と理想とのギャップを埋めようとする中で、やりたいことも少しずつ見えてくる。

 働くモチベーションは、上司が誰か、周囲にどんな人がいるかによってものすごく影響される。だからこれからの仕事選びでは「誰と働くか」をもっと重視したほうがいい。

 転職がより当たり前になれば、世の中は変わる。「転職」という選択肢があれば、個人は自由になれる。いい人材を引きつけようとする会社はより魅力的になる。本当にいい会社とは、いつでも転職できる人材が「ここにいるほうが面白いから」と、居続けてくれる会社だ。

(聞き手/編集部・石臥薫子)

※AERA 2018年11月19日号