「子どもの教育はとても大事。そのためにも社会、国が変わることも必要だけど、まずは家庭から。私の仕事が忙しい時は夫が手助けをしてくれますよ」

 この本で「料理をめぐる自分の過去と現在、これまでに訪れた場所、キッチンでの体験を書きたかった」と、レイチェルさん。

「いわばこの本は、私と料理との物語なのです」

(ライター・矢内裕子)

■書店員さんオススメの一冊

のお告げは樹の下で』は、『木曜日にはココアを』で小説家デビューをした青山美智子さんの新作だ。三省堂書店の新井見枝香さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

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 ひなびた雑居ビルと、年季の入ったアパートの間に、細い道が続いている。ご機嫌な人はまずもって覗き込まないその先には、神社があった。それに気づいて、「お賽銭でも投げていこうかな」と思う人はつまり、何かしらの悩みを抱えている。助けてほしい。失った恋や、空回りする親子関係、うまくいかない就職。叶わなかった夢のせいで、もう前へ進めない。だから横道へそれてみる。

 その神社に立ち寄り、不思議な猫から葉っぱに書かれた「お告げ」を受け取った7人の物語は、ゆるやかにつながり、一冊の連作短編集になった。そしてその本を手に取る人もまた、8人目の物語を紡いでいく。

 きっと何かに悩んでいるのでしょう。でも、もう大丈夫だ。お告げは今、その手に持っている「本」に書かれているはずだから。

AERA 2018年10月29日号