Rachel Khoo/英ロンドンの芸術大学を卒業後、仏パリに移住してル・コルドン・ブルーに学び、製菓ディプロマを取得。「レイチェルのキッチンノート」がEテレで放送中(撮影/写真部・小原雄輝)
Rachel Khoo/英ロンドンの芸術大学を卒業後、仏パリに移住してル・コルドン・ブルーに学び、製菓ディプロマを取得。「レイチェルのキッチンノート」がEテレで放送中(撮影/写真部・小原雄輝)

 常にノートを持ち歩き、旅で出合ったレシピやアイデアにイラストを添え、写真を貼り付けてきたレイチェル・クーさん。『レイチェル・クーのキッチンノート おいしい旅レシビ』は、このノートをもとに完成させた、とっておきのレシピ約100点を紹介した一冊だ。今回はレイチェルさんに、同著に込めた思いを聞く。

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「どうやって私が新しいレシピを考えるのか、そのプロセスを読者の皆さんと共有したいと思いました」

 と、レイチェル・クーさん。そのためにレイチェルさんが選んだのが、自身が書きためているキッチンノートを生かした本作りだった。

「どこへ行くときも、必ずノートは持っていきます。世界中を旅しながら、出合った料理やアイデアを書き込み、イラストを添え、撮った写真をあとから貼るんです。自宅のキッチンに戻ったら、ノートをもとに作りやすくておいしい、独創的なレシピにしあげてきました。料理をしながら書くこともあるので、ノートには食べ物の染みがついたりしますが、生き生きしたアイデアがそこにはあります」

 本の中に、レシピだけでなく、レイチェルさん自身によるイラストや写真が載っているのはそんな理由から。

「私の父はマレーシア人、母はオーストリア人です。料理好きで倹約上手な母のもと、国際色豊かな食卓で育ちました。この本には、子ども時代に食べていた懐かしい料理のレシピも、私流にアレンジして載せています」

 レイチェルさんのノートから厳選した100点以上のレシピが載っている本書は、日本の料理本よりも一回り大きいサイズで、300ページ近いボリュームもある。ビジュアルブックのように、眺めていても楽しい造本だ。

 2015年に結婚、16年に母親になったレイチェルさんに、「キャラ弁」など日本のお弁当問題について聞いてみると「私は日本の社会に暮らしているわけではないから、部外者としての意見になるけれど」と、前置きしたうえで、「忙しくて手のこんだお弁当が作れないとき、私だったら子どもに理由を説明して、気にしないように言います。とにかく母親同士がお互いを比べたり、足を引っ張りあうようなことだけは、あってはならないと思います。それにパパがお弁当を作ることがあってもいいですよね」との答え。

 現在は、スウェーデンで子育てをしている。

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