●土砂災害

 国交省によると、18年7月の西日本豪雨の土砂崩れで亡くなった人の約9割が、「土砂災害警戒区域」など危険とされた区域にいたという。

 豪雨にあたって自治体が出した避難指示などに従って難を免れた人もいるだろうが、そもそもそうした場所を選択しないことが転ばぬ先の杖というものだろう。

 この「土砂災害警戒区域」に指定された地域については、自治体が避難場所や避難経路を盛り込んだハザードマップを作成する義務がある。それをチェックして、物件選びに生かすようにしたい。

「土砂災害警戒区域」は山のふもとといったイメージが強く、郊外の新興住宅地に限られるのではないかと考えている人が多いかもしれないが、そうではない。

 実は関東平野のど真ん中の東京23区でもチラホラと警戒区域があるので、念のためにハザードマップで確認しておくのがいいだろう。

 とはいえ、すべてを完全にクリアしようとすると、物件選びは難しくなってしまう。

 大切なことは、価格や希望条件を満たせる範囲で、できるだけ安全な住まいを確保すること。そして家族でよく話し合い、万一のときの避難方法を把握しておくなど、災害への備えを怠らないことだ。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

※AERA 2018年10月22日号より抜粋