災害への備えも物件選びのカギになる。東京都内にある高層マンションの防災倉庫には車いすや、運河の水を浄化する機器も備えられている (c)朝日新聞社
災害への備えも物件選びのカギになる。東京都内にある高層マンションの防災倉庫には車いすや、運河の水を浄化する機器も備えられている (c)朝日新聞社
五つの災害に負けない物件の選び方(AERA 2018年10月22日号より)
五つの災害に負けない物件の選び方(AERA 2018年10月22日号より)

 今年は、地震や台風などの自然災害が立て続けに発生し、猛暑などの異常気象にも苦しまれた年だった。災害が多い日本で中古マンションを選ぶ際には、どうすればいいのか。見落としがちな箇所に焦点をあて、住まい選びのポイントをレクチャーする。

【五つの災害に負けない物件の選び方はこちら】

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●火災

 盲点になりがちなのが、火災だ。マンションは木造住宅に比べて火災に強いのはいうまでもない。万一火災が発生しても、ドアや窓を閉めれば基本的には延焼を防ぐことができる。

 ただ、住宅密集地にあるマンションだと、大地震後などに大規模な火災が発生したときには周囲が火に包まれ、逃げ場を失ってしまう。マンション自体は簡単には燃えないにしても、火災に巻き込まれるリスクが高まる。

 火災に関するハザードマップで、木造住宅密集地のように赤くなっている場所のマンションは注意したほうがいいだろう。

 また経過年数の長いマンションだと耐火性能が今ほどではなく、かつ消防設備が万全ではない場合もある。そのため、建物の防火性能について資料で確認するほか、現地では2方向の避難路が確保されているか、火災警報機などの消防設備が設置され、メンテナンスと適正化が図られているかを確認したい。

●厳寒・猛暑

 近年の厳寒・猛暑はもはや災害レベルだ。古く断熱性の低いマンションでは命が危険にさらされることもある。

 冬場、リビングは25度でも脱衣所は5度以下という住まいだと、急いで40度のお湯に飛び込んだとたんにヒートショックによって脳卒中、心筋梗塞などに襲われるリスクが高まる。他方、夏に電気代がもったいないからとクーラーをつけないと、室内でも熱中症になってしまう。

 断熱性が不十分な物件なら、高断熱・高気密化のリフォーム工事を行うのが安心だ。リフォーム技術の向上によって、古い中古マンションでも、最新の分譲マンションに近いレベルまで断熱性や気密性を高めることができるようになっている。少ない光熱費負担で住まいの温度を一定に保てるようになるので、夏も冬も、外気から住む人の身を守ってくれるようになる。

 もちろん、費用はかかるが、工事後には光熱費負担が大幅に軽減され、健康面での安心感が高まると同時に、地球環境や家計にもやさしい住まいになる。

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