

格闘技大会「RIZIN」が旗揚げし、女子格闘技が盛り上がってきた。大ケガを克服し、妊娠・出産を乗り越え、道を突き進むタフな女性選手たちがいる。
2000年代に大ブームを迎えた格闘技は、人気を牽引した「PRIDE」「K?1」の2大イベントが相次いで終焉を迎えたために、雌伏の時代が続いていた。しかし15年末に「PRIDE」の流れをくむ新イベント「RIZIN」が旗揚げ。地上波中継をバックに格闘技人気再興を目指した。
当初は「PRIDE」時代に活躍した選手を中心に起用していた同イベントだが、人気復活のカギは意外なところに隠されていた。「PRIDE」では起用していなかった女子選手たちの活躍だ。RENA、浅倉カンナ、山本美憂といった選手たちの試合はお茶の間的には新鮮味もあり、今では女子の試合がイベントの核の一つとして重用されるまでになった。
日本での女子格闘技、特に打撃も寝技も認められるMMA(ミックスト・マーシャル・アーツ)の歴史は、1990年代半ばに始まった。当初は女子プロレス団体が牽引する形で始まり、00年代に入ると定期イベント「スマックガール」が誕生した。
その後、いくつかのイベントが現れては消えていく中、「スマックガール」は運営母体の変化などにより「JEWELS」→「DEEP JEWELS」と名称・体制を変えながら、現在まで「女子オンリーのMMAイベント」として根強い活動を続けている。
この「DEEP JEWELS」でアトム級(47.6キロ未満)のトップファイターとして戦っているのが、富松恵美さんだ。14年には一つ上のストロー級暫定王座に就いたこともある富松さんは、過去に試合の中で命に関わるほどの大ケガを負いながら、リングに戻ってきたという経験の持ち主である。
“それ”が起きたのは08年1月のことだった。女子プロレスでデビューするも故障により引退、「食べてたら太ってきたので痩せようと思って」始めた格闘技でプロのリングに上がるようになった富松さん。その6戦目、老舗団体「パンクラス」に初参戦した試合だった。第2ラウンド、キックボクシング王者でもあるWINDY智美選手の蹴りを腹に受けた富松さんは、ラウンド終了時に異変を感じた。