私が専門とする産婦人科の領域でぜひ実現すべきだと思うのが、思春期の子どもたちへの十分な性教育です。現段階では、とても十分に行われているとは思えません。理由として「性教育は性の乱れにつながる」「性の知識を得るのは結婚してからでいい」など、まさに「トンデモ」話を耳にすることもあります。

 性教育は、言うまでもなく知識の獲得です。知識があるからといって人生が思い通りに、計画的に送れるとは限りませんが、知識がないことで大事な判断を間違えることはあるでしょう。避妊もそうですし、性暴力、デートDVなどもそう。自分の心身を尊重してくれないパートナーに対して、「でも私が悪い」と間違った認識を持つ。「それは違う」と考えられる教育を、思春期の時に行わないのは、大きな損害だと思います。

 丸の内でクリニックを開業して半年になります。婦人科を受診するのはハードルが高いと感じている女性は多いでしょうが、少しでもそれが変わればいい。働く女性にとって婦人科は良きパートナーなのですから。

(構成/ライター・羽根田真智)

AERA 2018年4月30日-5月7日合併号