3月28日の参院本会議で新年度予算が可決、成立し、頭を下げる安倍晋三首相(右端)と麻生太郎財務相(左隣)。3選なるか、キングメーカーの座に就けるか (c)朝日新聞社
3月28日の参院本会議で新年度予算が可決、成立し、頭を下げる安倍晋三首相(右端)と麻生太郎財務相(左隣)。3選なるか、キングメーカーの座に就けるか (c)朝日新聞社

「先生の発する言葉は心の奥にまで響くすごみがありました。今に続く自公政権の礎を築いてくださった」

 4月14日、京都市内で開かれた野中広務元幹事長(享年92)の「お別れの会」で安倍晋三首相は、政治信条では対極に位置した故人をしのんだ。参列した村上誠一郎元行革相は涙を浮かべて筆者に語った。

「安倍さんは野中先生の気持ちを理解しているように思えません。本当に心の奥まで響いたのか。最近の政治家の言葉には相手を思いやる気持ちや惻隠の情が全く感じられない。安倍さんや麻生(太郎財務相)さんは自分の責任を放棄して公務員の責任にして逃げている。最高責任者としてあるまじき行為だ。一日も早く即刻退陣すべきだ!」

 自民党が4月上旬に実施した次期総選挙の独自調査では、政権への逆風にもかかわらず、「自民12議席減」にとどまる結果が出た。安倍・麻生両ツートップも、「辞める気はなく、意欲に衰えはない。最大派閥の細田派、第2派閥の麻生派が結束し、安倍3選の方針に変わりはない」(官邸幹部)という。

 政権中枢も今後の政権運営について、巷間伝わっている「解散・総選挙」や「内閣改造」で野党にブラフ(脅し)をかけるべく、「(政権寄りの)メディアに情報をリークした」と打ち明ける。そのうえで、・14年ぶりの日朝首脳会談を実現・省庁再々編で財務省の組織改編・消費増税の3度目の延期アナウンスを前倒し・天皇退位に絡む新元号発表など皇室の政治利用・来年のラグビーW杯の日本開催による国威発揚──これらの政治スケジュールで、「安倍首相が悲願とする憲法改正を描いていた」(同)と語る。

 官邸関係者も「得意の外交が最大の焦点になる。だが、セクハラ財務事務次官は、昨年離党を余儀なくされた『ハゲー・パワハラ発言』の豊田真由子前衆院議員ぐらい、創価学会婦人部など女性への印象が極めて悪い。外交得点が挙げられず、永田町用語で『岩盤』と言われる『支持率30%』を割ると、安倍3選は確実にない」と見る。

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