大槻さんは「修験道の世界を多くの人と共有したい」と、母方の故郷である長野県飯山市に星野さんを招き、「北信濃の修験」体験会も始めている。

 星野さんは修行がない時期、海外や日本各地に出向いて、修験道に関する講演をおこなっている。

 最近は若い女性と東京の街を祈りながら歩くといった参加型のワークショップやアーティストとのコラボレーションも多い。山伏というと屈強な男性のイメージだが、修験道に興味を持つ女性が年代を問わず増えているのだ。

「日本の山は、本来、命としっかり向き合っていた。生きることも日常も、山の中にあったんです。今、世界に必要なのは自然の中から叡智を感じとる力だと思う。昔から人間に備わっていた感覚に、女の人たちが気づいたんじゃないでしょうか」(同)

(ライター・矢内裕子)

AERA 2018年2月19日号より抜粋