サントリーのキャプテンSH流大(ながれゆたか)によれば、チームには昨季以降「プライドタイム」という言葉があり、苦しいときもそれを忘れることがなかったことで、ピンチをしのぎきれた、という。

「(最後のプレーでも)精度は別にして、とにかくゴールラインを割らせたくなかった。苦しい展開になったときこそ『プライドタイム』と声を出すことになっていたが、今日はそれが自然と全員から出ていた」

 わずかだが集中力でサントリーに分があった。

「今季のチームスローガンはステイ・ハングリー(貪欲であり続けろ)。成長が止まれば衰退が始まるとの思いでやってきた。サントリーは心地よい(楽な)トレーニングはしません。その成果が接戦の中で出た」

 沢木敬介監督も胸を張った。

19年9月に開幕するラグビーW杯日本大会は、今月27日にもチケットの一般販売がスタート予定と、もうすぐそこだ。昨年4月に“日の丸デビュー”を果たした流は話す。

「僕らはインターナショナルスタンダードという目標を掲げている。この優勝に満足することなく、レベルを上げて、日本ラグビーを引っ張っていきたい」

 日本代表は11月に、世界ランキング1位のニュージーランド、同2位で前回のW杯で日本代表を躍進させたエディー・ジョーンズ監督率いるイングランドとの対戦を控える。腕試しにはこれ以上ない相手だ。

 自国開催のW杯につながる戦いを見せなければ、先はない。18年こそ、日本ラグビーにとって勝負の年となる。(スポーツジャーナリスト・栗原正夫)

AERA 2018年1月22日号