ここまでバッシングがひどいお妃候補もいなかったろう(※写真はイメージ)
ここまでバッシングがひどいお妃候補もいなかったろう(※写真はイメージ)
婚約発表後の写真撮影で仲睦まじい様子を見せた二人だが、バッシングがやむかは未知数だ(写真:gettyimages)
婚約発表後の写真撮影で仲睦まじい様子を見せた二人だが、バッシングがやむかは未知数だ(写真:gettyimages)

 ここまでバッシングがひどいお妃候補もいなかったろう。英王室のハリー(ヘンリー)王子とメーガン・マークルのロイヤルカップルは婚約を発表しても賛否両論かまびすしい。

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 メーガン・マークル(36)は、当初からロイヤルブライドの候補ではなかった。これまでハリー王子(33)との交際を伝えられた20人ほどの女性と同様に、そのうち消えていくお相手とみなされていたのである。離婚経験者で、王子よりも3歳年上、米国人、宗教は英王室の英国国教会に対しキリスト教エピスコパル(監督派)、セミヌードを披露したC級のテレビ女優との認識だったからだ。何より、母親がアフリカ系アメリカ人で両親は自己破産、異母兄には暴力沙汰で逮捕歴があり、異母姉は「メーガンは自己中心的な野心家で、人道支援家として振る舞いながら身近な家族には極めて冷淡」だとする暴露本を出版すると息巻いている。

 問題点ばかりが目につき、王位継承第5位(現在妊娠中のキャサリン妃が第3子出産後は6位)の結婚相手としては想像もできなかったのである。

 ところが、メーガンは臆しなかった。自分のSNSに仲睦まじい男女をイメージしたようなバナナ2本が横たわる図柄や、王子と同じブレスレットを着けた写真を出し、雑誌のインタビューには「私たちは愛し合っている」と堂々の交際宣言。王子は「彼女に対する中傷、誹謗が度を超している」とメディアなどに警告文を出した。その後も彼女は交際メッセージを発信、人種についても差別に苦しんだ経験もつまびらかにし、「自分の出自に誇りを持っている。アイデンティティーとは自分で創り出すもの」と述べた。自分がかつて挙式したジャマイカの地を王子と共に踏むなど、怖いもの知らずの言動で、多くの英国人が嫌悪感を募らせた。「メーガンは早く身の程を知って身を引いて」「ハリー、目を覚まして。逃げるなら今よ」と悲鳴にも似た批判の声が飛び交った。

 しかし、ついに11月27日、婚約が発表された。エリザベス女王(91)の結婚70周年のプラチナ婚のお祝いを終え、クリスマス休暇までにはまだ間があるというベストタイミングだった。

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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