さらにこの文科省の再編案で注目したいのは、これまで男女共同参画学習課のもとにあった「家庭教育支援室」が地域学習推進課に移管する点だ。同省はこれまでも学校・地域・家庭の連携を強調し、地域の子育て経験者などが各家庭を訪問して親にアドバイスする「家庭教育支援チーム」などを推進してきたが、これをさらに活性化する意図がある。

「家庭教育はどうしても母親に負担が行きがち。女性が仕事と子育てを両立するのを支援するには男女共同参画の視点が必要なのに、切り離されたらどうなるのか……」(前出の入江さん)

 今年、家庭教育を「父母その他の保護者の第一義的責任」と位置づけた自民党の「家庭教育支援法案」が「公」の家庭への介入だと批判された。通常国会での提出は見送られたが、今後の動向が気になると入江さんは言う。

 11月21日には自民党の山東昭子・元参院副議長が党役員連絡会で「子どもを4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」と発言するなど、男女共同参画社会はまだまだ道半ばだ。

 民進党の神本美恵子参院議員は、女性の地位向上のために文科省が果たすべき役割は大きいと感じている。

「教育で子どもたちの性別による役割分担を克服しながらエンパワーメントしていく、その旗振り役をやってほしい。再編が止まらないなら、男女共同参画振興官を置くなど後退ではなく前進だと示してほしい」(神本議員)

 再編案は現在、内閣人事局と調整中で、年内には正式決定する見通しだ。(編集部・竹下郁子)

AERA 2017年12月4日号