自民党との連立政権をにおわす発言もしている。先の阿部氏はこう話す。

「自公対希望の選挙ではない。違法な安保法制を通した自民、公明、維新に加え、賛成の立場をとる希望。それに対する立憲民主、共産、社民、そして市民連合の戦いだ。立憲政治を守るには野党3党で3分の1以上の議席を獲得し、強引な憲法改正発議を防がなければならない」

 立憲民主党で見込まれる立候補予定者は50人規模。全員が当選し、共産党、社民党が現在の議席数を維持したとしても、3党で73議席。憲法改正発議を阻止する3分の1(155議席)には遠く届かない。政治ジャーナリストの角谷浩一さんはこう指摘する。

「希望の党の第1次候補者が発表されたが、目玉候補もおらず、大きな話題にはならない。選挙前から有権者は政党間のごたごたばかり見せられ、辟易(へきえき)している。ただでさえ立憲民主党の新設で反自民票が割れるなか、無党派層の動きも鈍れば、自民党が利するばかりだ」

 朝日新聞の世論調査(10月3、4日)では、比例区投票先は自民党(35%)に続き、希望の党が前回(9月26、27日)から1ポイント落とし、12%と横ばい。立憲民主党はそれに続く7%だが、ツイッターのフォロワー数では結党宣言からわずか2日で政党トップに。5日午後3時時点で立憲民主が13万、次いで自民が11万4千、希望は5千だった。野党潰しに血道を上げる希望の党。安倍首相の改憲別動隊とすれば、あまりにもむなしい。(編集部・澤田晃宏)

AERA 2017年10月16日号より抜粋