10月1日、安倍政権の退陣を求める市民グループのデモで歓迎される枝野幸男氏。新党発足前だったが、「社会の軸となるべき基本はしっかり守る。このことについてはぶれない。もう少しだけ待ってください」と語った (c)朝日新聞社
10月1日、安倍政権の退陣を求める市民グループのデモで歓迎される枝野幸男氏。新党発足前だったが、「社会の軸となるべき基本はしっかり守る。このことについてはぶれない。もう少しだけ待ってください」と語った (c)朝日新聞社

 4日朝、藤沢駅前(神奈川県藤沢市)でマイクを握った立憲民主の阿部知子前衆院議員(神奈川12区)。その足元には、赤地に白抜きの文字で「新しい独裁者はいらない」と書かれた立て看板があった。阿部氏は、

「国会に招かれた憲法学者が憲法違反としても安保法を強行採決するなど、安倍政権は憲法を破壊した。小池(百合子)代表はそれを認め、反対する者には公認を与えず、無所属でやらなければ対抗馬を立てるなど、思想信条の自由、結社の自由を阻害している。主権在民を否定し、強引に推し進める姿勢は安倍総理以上だ」

 選挙区では希望の党の候補者とも戦うことになるが、

「排除発言以降、『あれはやりすぎだよね』などと、小池さんのことを直感的に嫌だと思い始めている人はいる」(阿部氏)

 高千穂大学の五野井郁夫教授(政治学)は、小池氏の強権的な政治手法に懸念を示す。

「小池氏が尊敬する、鉄の女と言われた政治家サッチャーの言葉に『コンセンサス(合意)からコンビクション(説得)』がある。側近の若狭氏にすらいまだ役職はなく、小池氏自らがすべてを決めている姿勢が見てとれる」

 また、五野井教授は都議会の運営方法にも言及した。

「安倍一強と言われる自民党でも党内に安倍政権を検証する勉強会があるなど、議論をする雰囲気や多様性がある。小池氏が特別顧問を務める地域政党『都民ファーストの会』の所属議員の取材対応は党本部が一括し、規制している。同様のことをしているのがイタリアのポピュリスト政党『五つ星運動』や、オランダの極右政党『自由党』だ」

 偶然にも5日、都民ファースト所属の上田令子、音喜多駿両都議が離党会見を開き、情報統制の実態が明らかになった。

「メディアに出ることを禁じられ、自由な意見を述べることはできなかった」(音喜多氏)

 立憲民主党が小池氏に対する異論を唱えるのは、その政治姿勢だけではない。小池氏は、アベノミクスは「行き詰まりを見せている」などと発言するなど、「反安倍」票の受け皿を演出する一方、9月30日には自民党が推し進めた「共謀罪」法などに賛成した日本維新の会と選挙協力で一致。4日、衆院選後の安倍首相との連携は否定したものの、安倍首相が退陣した場合の自民党との連携について記者団に問われると、

「それはやってみないと、選挙の結果次第」(小池氏)

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