世の中に浸透する一方で、「非科学的」と眉をひそめる人も多い「占い」。しかし、個人の選択肢が増えすぎ、経験則が必ずしも通用しない現在、「信じる」「信じない」ではない「占い」とのつきあい方があるという――。AERA10月2日号では、「占い」を大特集。金融やマーケティング、カウンセリングなどの世界で「占い」がどう活かされているかを探り、現代社会における「占い」のあり方を多角的に取材した。今回は、「しいたけ占い」が人気の占い師・しいたけさんに話を伺った。
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早稲田大学の大学院を経て、紆余曲折あって占い師になると友人に言ったら、「もったいない」と言われました。当たり前ですが、普通に就職しなよと心配されたんです。
僕はもともと占いにまったく興味がない人間でした。それが1度占い師にみてもらったら、すごく当てはまる、身に染みる。コールドリーディング(※)ではなかったので、それは技術なのか、生まれつきなのか、研究者として興味を持ったんです。
昔の哲学者は、インスピレーションは神からの贈り物だと言いました。ひらめきが大事だったんです。今だとそれを言うとオカルトになってしまいますが、見えないことがよく分かるというのはどういうことなんだろうと考えました。最初は占いを本職にするつもりはなく、ただ調べていて。テクニックを学んで友達を占っていたら、趣味を超えて依頼が増えていきました。
●弱点はその人の本質
人はそれぞれ何かの物語や大事にしているものを抱えて生きています。純粋に、みなさんの物語が知りたくなりました。米国ではカウンセリングを受けて、家族や友達などに話せないことを話せますが、日本の場合「ちょっと病んでいる」という話になる。しかし、占いなら違うかもしれない。占いが、否定したりジャッジしたり、指示をしない、カウンセリングのような位置づけにならないかとずっと思い続けているんです。占いはサプリメントだと思っています。